ana parrilla について・・・
2002年5月23日の夜に、スペイン・アンダルシアのヘレス市のフラメンコ愛好会(ペーニャ)"ブレリア"で催された、ヘレスのカンテ(唄)の名家である「アグヘタ」ファミリーの宴の様子である。アグヘタファミリーにはカンテの名手であった長男ホアン(2002年6月16日に亡くなった)、次男マヌエル(アグヘタの名を高めた総金歯の怪物)、三男パコ、四男ディエゴ、五男ルイス、そして従弟のミゲルがおり、父アグヘタ・ビエホ(老)から受け継いだヒターノ(ジプシー)代々の鍛冶屋の唄を、それぞれに独立した個性と独創とによって、しかしあくまで古風に歌うのである。
この宴ではパコ、ディエゴ、ミゲルが唄い、ギター伴奏を生粋のヘレスの伝統を継ぐ天才、パリージャ・デ・ヘレスが弾く。その妹アナ・パリージャがひとふりを踊り、アグヘタ・ファミリーのアントニオ・モネアがパルマ(手拍子)をたたく。故ホアンの25年来の義兄弟(コンパドーレ)である私がこの宴を企て、付録としてパリージャの演奏で一曲唄った。(これは長年の夢であった。)またジャケットの絵を制作し、この一文を記した。
故ホアンは鍛冶屋、パコはロタ郊外の農夫、ディエゴは鍛冶・板金屋、ミゲルは立売りの花屋である。唄のすばらしさは申すまでもない。一聴また万聴してヒターノの古い唄の伝統を、心ゆくまで味わって頂きたい。
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